年々増加する英語留学人口、今回は『一般社団法人海外留学協議会(JAOS)』による日本人留学生数調査レポートを参考にしながら英語留学先について見ていければと思います。
そもそもJAOSという組織は、JAOSに加盟している留学事業者約40社で構成されており、日本人留学生数の調査や渡航に関する情報(特に各国の情勢等)を共有しています。
背景としては、これまでの留学生数の調査は、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)や、文部科学省が発表する(OECD)がベースとなっていましたが、そのデータは、海外大学や高校への留学生数や、日本国内の大学経由で留学した学生数しか計測されておらず、大学プログラムを利用せずに留学した学生や中高生の留学、そして社会人の留学は調査対象になっていなかった事から、JAOSが新たに留学生データを集積していく事になりました。
JASSOやOECDの調査方法からJAOSの調査方法に変わったように、日本人が留学する際に学校経由や留学事業者経由で行く等、様々な方法で留学に行くことが出来るようになりました。
ですが、情報がありふれてる今、学生が直接、留学先の大学や高校、語学学校に申請をするパターンも増えてきていますので、今回のJAOSのデータからの考察もあくまで参考程度に見てもらえればと思います。
目次
そもそも、英語留学について考える
調査データによると、JAOSに加盟している留学事業者の年間留学生数は約8万人であることが発表され、他調査と合算するとトータルで約20万人は越してると推測されています。海外英語留学といっても、それぞれ『留学の目的』が異なります。
・語学留学(3ヶ月未満)
・語学留学(3ヶ月以上)
・大学学部過程ー学位取得
・専門学校
上記が主な英語留学の目的となります。
渡航先により学べる内容を比較する
データを見ると、やはり不動の人気はアメリカを始め、オーストラリア、カナダ、イギリス、ニュージーランドの英語ネイティブ圏への留学です。ですが、ここ数年でニュージーランドを抜き、フィリピン留学が、英語留学先として第5位に伸びてきました。『語学留学』が目的である留学に関して言えば、イギリスを抜き、第4位とされています。
英語ネイティブ圏ではないフィリピンが、ここまで成長した理由としては、『リーズナブルな費用』・『マンツーマン授業中心』・『オールインワンの学習環境』といった点が挙げられます。
人気の英語留学先 6ヵ国
では次に、英語留学先として人気の6ヵ国の国別情報を見ていきます。それぞれの国により、学べる内容や特徴、滞在方法、またビザ取得方法も異なります。英語留学をするという事は、英語力を身につけた後にインターンシップや大学進学などを考えている人も多いと思います。
その場合は、英語留学の先の事についても計画した上で留学先の国を決めるようにしましょう。治安、学費、生活費など、また時期により混み具合や天候も異なりますので、今後、留学を考えてる人にとって少しでも参考にしてもらえればと思います。
アメリカ
英語留学と言えば、一番先に思い浮かぶのはアメリカ留学ではないでしょうか。アメリカ留学が人気の理由としては、『大学・語学学校の数が多い』、『世界中から学生が集まる』、『最先端の環境を体感出来る』などがあります。
特に、世界中から学生が集まり、また様々な人種、宗教を持った人がいますので、世界各国の文化や習慣に触れる事が出来ます。ただ、最近は学生ビザの取得が難しくなりつつありますので、観光ビザ『90日間有効』での短期留学が多くなっています。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 普通 |
学費 | 1ヶ月15万円程度 |
滞在費 (シェアハウス、ホームステイ、 学生寮が一般的) |
1ヶ月10万円程度 |
生活費 | 1ヶ月5-10万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ 学生ビザ |
<メリット>
・大学、語学学校が多い
・国際色が豊か
・留学後の進路も豊富(学部進学、インターンなど)
・最先端を経験出来る
<デメリット>
・費用が高い(特に都市部)
・意外に日本人が多い
・治安が悪いエリアもあり
・時期によりエリア毎の天候が異なる
オーストラリア
ワーホリ大国のオーストラリア。1年を通じて温暖な気候、そして住みやすい環境、リタイア後に移住する日本人も多く、アメリカに次ぐ人気の留学先です。最近は、フィリピン・セブ留学からのワーホリがパターン化されてきており、これはセブ留学で英語のベースを一気に作り、スムーズにワーホリに入っていけるようにという事です。
また、語学学校も多くあるので、セブの語学学校3ヶ月、オーストラリアの語学学校1ヶ月、そして、アルバイト開始という流れが一般的です。オーストラリアは横に広い国なので、同じ国なのにエリア毎に時差があったり、また飲食店を除くほとんどのお店は17時に閉店しますので、若干不便な部分もあります。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 良い |
学費 | 1ヶ月10万円程度 |
滞在費 (シェアハウス、ホームステイ、 学生寮が一般的) |
1ヶ月10万円程度 |
生活費 | 1ヶ月4-8万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ ワーホリビザ 学生ビザ |
<メリット>
・大学、語学学校が多い
・アルバイトが出来る(時給も高い)
・自然が多い
・治安が良く、長期留学向け
<デメリット>
・日本人が多い
・ホリデーになる人が多い
・物価が高い
・若干訛りがある
カナダ
移民大国カナダでは、世界中から移民が集まり、様々な歴史的、文化的背景を持った人々が共存しています。ワーホリ大国として、北はカナダ、南はオーストラリアと言われ、セブ・フィリピン留学の後に行く人がオーストラリア同様に多いです。カナダは、広大な面積ですが、トロント、バンクーバーに人口の8割が集中しています。
また、西海岸のバンクーバー、ビクトリア、東海岸のトロント、モントリオールでは、『気候・街の雰囲気』が異なり、特に冬季のトロントは、氷点下まで気温が下がり非常に寒いですが、バンクーバーでは、日本の気候と似ている為、比較的過ごしやすい気候です。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 良い |
学費 | 1ヶ月10万円程度 |
滞在費 (シェアハウス、ホームステイ、 学生寮が一般的) |
1ヶ月10万円程度 |
生活費 | 1ヶ月6-8万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ ワーホリビザ 学生ビザ コープビザ |
<メリット>
・大学、語学学校が多く、インターンも可能
・アルバイトが出来る
・公用語が英語とフランス語(トロント、オタワ等)
・治安が良く、多国籍な環境
<デメリット>
・日本人が多い
・ホリデーになる人が多い
・東海岸の冬季は寒い
・物価が高い
フィリピン
今一番英語留学先として勢いがある国、フィリピン。ここ数年一気に留学生が増え、ジュニア留学から学生、社会人、シニア層まで幅広い層が留学に参加しています。圧倒的にコストパフォーマンスを誇るフィリピン・セブ留学は、1日あたりの授業時間が多く、その半分はマンツーマン授業で構成されている為、短期間でも最大限の成果を上げれるようにプログラムされています。
また、オールインワンタイプの留学となり、学校、滞在先が一つの敷地内にある事が多く、お部屋の掃除、洗濯も学校スタッフが行いますので、勉強だけに集中出来る環境が整っています。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 注意が必要 |
学費 | 1ヶ月15万円程度 |
滞在費 (学生寮が一般的) |
学費に込み |
生活費 | 1ヶ月2-3万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ |
<メリット>
・マンツーマン授業のレッスンが大半
・リーズナブルな留学費用
・オールインワンの留学
・日本からの距離が近い
<デメリット>
・日本人が多い
・英語学習以外にやる事が少ない
・国籍に偏りがある
・大学進学には不向き
イギリス
英語留学の憧れの国、イギリス。伝統文化と近代文化が入り混じる国として知られており、イングランド、スコットランド、ウェールズの3ヵ国から構成されるグレートブリテン、及び、北アイルランドの合計4つの国によりイギリスが成り立っています。
古い建造物や美術館が多く、多くの観光客で毎日賑わっています。またワーホリでの留学も可能ですが、毎年ワーホリビザの発給数が決まっており、ワーホリでの渡航は狭き門です。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 良い |
学費 | 1ヶ月15万円程度 |
滞在費 (シェアハウス、ホームステイ、 学生寮が一般的) |
1ヶ月15万円程度 |
生活費 | 1ヶ月8-10万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ 学生ビザ ワーホリビザ |
<メリット>
・イギリス発音を学べる
・アートや芸術分野の学び
・大学進学も人気
・アルバイトが出来る
<デメリット>
・食事が微妙
・英語レベルが高い
・物価が高い
・日本から遠い
ニュージーランド
圧倒的に治安の良い国、ニュージーランド。日本と同じく四季があり、教育水準も高い為、英語留学からの学部進学が人気の国です。
また、ワーホリでの参加も可能なので、働きながら現地学生との交流機会も多いのも人気の理由の一つです。ニュージーランドは、とにかく自然が多く、穏やかな国なので、いつまでも滞在したいと思う人がほとんどです。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 良い |
学費 | 1ヶ月12万円程度 |
滞在費 (シェアハウス、ホームステイ、 学生寮が一般的) |
1ヶ月10万円程度 |
生活費 | 1ヶ月6-9万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ 学生ビザ ワーホリビザ |
<メリット>
・治安が良い
・自然が多い
・大学進学も人気
・アルバイトが出来る
<デメリット>
・若干利便性が低い
・気候変動が激しい
・物価が高い
・日本人が比較的多い
急上昇の英語留学先 2ヵ国
上記6ヵ国がメジャーな英語留学先となりますが、マルタ、マレーシアは、ここ最近急激に人気が出てきている国として注目されています。同じ英語圏ではありますが、それぞれの国で出来る事が異なりますので、自分の目的に合った国を探していきましょう。
マルタ
女性に大人気の国、マルタ。地中海に浮かぶリゾード島マルタは、東京23区の約半分の大きさで、マルタ島、コミノ島、ゴゾ島からなる島国です。歴史的建造物が多く、世界遺産もあることから多くの観光客がマルタに訪れ、また、地中海の水平線に沈むサンセットは感動する程素敵な光景です。マルタは、ヨーロッパに近く、シェンゲン協定国なので、マルタ留学中に気軽にイタリアやドイツ、フランスに旅行に行く事が出来る点もマルタ人気の一つです。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 良い |
学費 | 1ヶ月12万円程度 |
滞在費 (シェアハウス、ホームステイ、 学生寮が一般的) |
1ヶ月10万円程度 |
生活費 | 1ヶ月6-9万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ 学生ビザ |
<メリット>
・治安が良い
・物価が安い
・インターンシップ可能
・周辺国へ気軽に行ける
<デメリット>
・日本から遠い
・長期滞在には不向き
・英語レベルが高い
・授業時間が短い
マレーシア
マレーシアは、英語圏なので格安で英語留学が出来る国として人気ですが、それ以上に英語を使ったインターンシップが出来る国として最近人気が出てきています。フィリピン留学や欧米留学で英語力を向上させてから、マレーシアでキャリアアップの為のインターンに参加するという流れが最近多く、英語のアウトプット先として評価されています。
これは、マレーシアは多民族、多宗教国家であることから、様々な人とのコミュニケーションを取る事が出来、また文化背景も学ぶ事が出来る事が人気の理由です。日本からの移住先希望国として、10年連続1位に選ばれており、治安面、費用面、食事面、医療面、何をとってもトップクラスです。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 良い |
学費 | 1ヶ月10万円程度 |
滞在費 (コンドミニアムが一般的) |
1ヶ月4-6万円程度 |
生活費 | 1ヶ月4-5万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ 学生ビザ インターンビザ |
<メリット>
・治安面、医療面が安心
・物価が安い
・インターンシップ可能
・移住先10年連続No1
・多民族、多宗教国家で国際色豊か
・食事のバリエーションが豊富
<デメリット>
・ネイティブ圏ではない
・授業時間が短い
・グループ授業がメイン
・夜は渋滞気味
特定の人に人気の英語留学先 2ヵ国
最後の2ヵ国はあまり一般的な英語留学先ではありませんが、一定の人気がある留学先です。それぞれ特徴がありますが、シンガポールは、ビジネスマンが多く、フィジーは親子留学が多くなります。
シンガポール
言わずと知れた観光名所シンガポール、マリーナベイサンズやマーライオンなどは有名な観光名所として知られていますが、実は英語語学学校もいくつかあります。主に、シンガポールで駐在員として働くビジネスマンを対象とした語学学校が多く、またその家族に向けた英語コースも開講されています。治安面、仕事面含めて、日本からの企業研修として利用している場合もあり、比較的料金相場は高めに設定されています。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 良い |
学費 | 1ヶ月20-30万円程度 |
滞在費 (ホテル、ホームステイ、 レジデンスが一般的) |
1ヶ月15万円程度 |
生活費 | 1ヶ月10万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ 学生ビザ |
<メリット>
・治安が良い
・観光名所が多い
・国際色が豊か
・ビジネスチャンスがある
<デメリット>
・全てが高い
・長期滞在には不向き
・授業時間が短い
・英語レベルが高い
フィジー
フィジーは格安英語留学先として、数年前は人気がありましたが、フィリピン・セブ留学のブームが来てからは、フィジー留学に行く学生数が一気に減り、現在はジュニア留学や親子留学に絞って安定した留学先として認知されています。ビーチリゾートが有名、且つ温暖な気候で治安も良く、英語留学環境としてはしっかりしているので、これからもジュニア層などには需要がある留学先と言えます。
項目 | 内容 |
---|---|
治安 | 良い |
学費 | 1ヶ月12万円程度 |
滞在費 (ホームステイ、学生寮が一般的) |
1ヶ月4万円程度 |
生活費 | 1ヶ月4万円程度 |
主なビザの種類 | 観光ビザ 学生ビザ |
<メリット>
・治安が良い
・気候も良い
・ジュニア、親子留学で人気
・リゾード
<デメリット>
・授業時間が短い
・マンツーマン授業が少ない
・英語学習以外にやる事少ない
まとめ
いかがでしたでしょうか。英語留学といっても、それぞれの国で特徴は大きく異なりますので、自分に合った留学のスタイルを見つける必要があります。英語留学の後のプランも大事になりますので、大学進学、インターン、就職など、留学に参加する前にある程度将来のイメージをしておくと、留学先選びもスムーズに出来ます。
また、2020年の英語入試改革に向けて、今後若い世代の英語学習が進み、それに伴い英語留学に参加する学生も増えていくと言われています。具体的には、親子留学や中高生の留学はどんどん増え、また小学生の英語教育必修化もあり、小学生の留学も増える傾向にあります。
英語スキルを身につける事は、グローバル社会では既に必須のスキルになっていますので、英語プラスでインターンシップをしたりなど、自分だけのスキルや経験を持つ事で、希少価値の高い人材になる事が出来ます。
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